みどり市の農業団体・大間々用水土地改良区(理事長・石原条みどり市長)は同市と共同で、同市大間々町上神梅に小水力発電所を開設した。県内の土地改良区では初の取り組みで、農業用水を活用して発電事業を行い、売電収益を水路などの施設の維持管理費にあてる。17日に竣工(しゅんこう)式を行い、石原理事長が発電機のスイッチを押した。
同土地改良区は、渡良瀬川支流の深沢川(桐生市黒保根町)を水源に、みどり市大間々町と笠懸町、桐生市新里町、伊勢崎市赤堀町を流れる農業用水の受益農家ら約700人でつくる組合。
小水力発電所は、長年の懸案だった施設の維持管理費の軽減や、地域農業の活性化を目的に建設したもの。農業用水を利用した発電事業に対する補助制度ができたことなどを追い風に、14年度から本格的に事業着手した。総事業費は1億2460万円で、50%を国、25%を県の補助でまかない、残りを土地改良区と市で負担した。
旧神梅小の南約150メートルの場所に水車や発電機を備えた建屋を設置。北に約2・5キロ離れた深沢川から地下導水管を通って流れる水の落差(約22メートル)を使ってタービンを回す。土地改良区と市が持つ同川の水利権(毎秒0・4174立方メートル)のうち同0・3立方メートルの水を発電に使う。
最大出力は47キロワットで、年間発電量は一般家庭の約70世帯分に相当する264メガワット時。これを1キロワット時あたり34円で東京電力に売電し、年約900万円の売電収入を見込む。収入から経費を除いた年約500万円を水利権の割合に応じて土地改良区(約53%)と市(約47%)で分ける計画だ。
売電収入を得ることで、土地改良区は施設管理費の負担を軽減でき、市も土地改良区に払っている施設管理委託料が実質的に軽減できるメリットがある。
竣工式で石原理事長は「この地域で安定的な電力を確保するのは水力が一番。水量も落差も十分に確保できる。ここが情報発信の基地になることを期待する」などと述べた。
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