低速小型の電気自動車(EV)を手掛けるシンクトゥギャザー(桐生市相生町五丁目、宗村正弘社長)が、池袋駅周辺を回遊するための移動手段として東京都豊島区が導入を目指すEVバスの設計・製造に乗り出す。車両デザインは、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星」を手掛けた水戸岡鋭治さんが担当。「水戸岡さんの夢を形にしたい」と宗村社長。2019年度内の導入に向け、斬新なデザインを具体化するための作業に挑む。
豊島区が目指すのは、池袋かいわいの四つの公園や劇場を巡る定期路線を設け、環境にやさしい低速EVバスで周遊してもらう構想。高野之夫区長が1月31日の会見で明らかにした。
車両デザインを手掛ける水戸岡さんとともに候補車両として発表されたのが、シンクトゥギャザーの製作した10輪タイプの低速EVバス「eCOM―10」。
豊島区では昨年、公募型の車両選定プロポーザルを実施。委員会での審議を経て、eCOM―10を基本モデルとすることに決定した。
「昨年4月から3回、豊島区内でマユ(eCOM―8)やeCOM―10を運転する機会があり、大勢の区民に試乗していただいた経緯がある」と、宗村社長は話す。
発表された水戸岡さんの車両デザインも10輪の赤い車体で、車内は対面式シート。eCOM―10の基本構造と合致するが、「実際には車体の大きさやベースも変わる。EV、低速、対面式シートといったコンセプトは変わらないが、新しい車両を一からつくる作業になる」と宗村社長。
「わくわく感大きい」
今後、水戸岡さんや区担当者らと道筋をつけ、18年度前半には車体設計に取り掛かる予定。1台当たりのコストも勘案し、区では最大で10台の導入を目指すという。
「今はわくわく感が大きい」と、宗村社長は今後の展開を楽しみにしている。
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