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地域の脳

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 民間委託の手法が功を奏して一時期話題となった通称「ツタヤ図書館」。書庫をなくした高い開架、カフェの併設、夜9時までの開館時間などで先駆けとなった佐賀県武雄市の図書館は、年間90万人と利用率がアップ、町おこしの起爆剤と高く評価された▼ところが今、ツタヤ図書館を問題視する向きもある。数十年前の実用書、遠隔地のグルメガイドなどの子会社からの購入は「官費で在庫処分」と批判の声。見栄えはするが、数㍍の書架は児童や高齢者への配慮に欠ける。愛知県小牧市では住民投票の結果、導入反対が上回った▼美術評論家の山田五郎氏が「情報の機会均等という観点」からラジオ番組で卓見を述べていた。「ネットが普及したのだから、地域の図書館はネットにない情報(書籍)を置くべき。一般の人が入手しにくい本を」。また「地域の事情や文化・歴史に精通した専門の司書を置くべき」とも▼だが、自治体は「年間利用率」で図書館の価値を判断しがち。そのためベストセラーを置きがちとなる。しかし、図書館本来の価値は数値では測れない▼調査対象によってはネットより図書館がいい場合が断然ある。“地域社会の脳”として図書館には、情報・文化の中核を担ってほしい。(巻)
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