テレビの「夏の防犯特集」で便利グッズとともに紹介されていたのが「ベランダに空き缶を並べる」という方法。侵入者は暗闇で空き缶を蹴って音を立ててしまうので逃げるしかないらしい。風の強い日はカランコロン大変である▼ぼんやり眺めながら「そういえば、うちの戸口も守られているなあ」なんて思い出し笑いした。防犯上は意味がないけれど、確かに侵入者を防ぐ存在。クモの巣の話である▼玄関先や窓に近い軒下、つまり外灯周りや家明かりがもれる場所に小さな巣がいくつかある。明かりに集まる虫(えさ)を待つにはよい場所だし、雨風しのげるので、それも好都合なのだろう▼別段悪さをするわけでもないし、室内に侵入しようとする虫を捕らえてくれるから感謝して、そのままにしている。高いところに作られていた巣が、最近では地面近くに進出してきたけれど邪魔でなければ、やはりそのまま▼互いの領分を守って、干渉しない。だけど、日常生活の中でちょっとだけ頼りにしている。そんなゆるやかな関係はとても理想的で、維持し続けるのは難しい▼つい先日のこと。こちらの進路をふさいでいたものだから、出掛け際に巣を一つ、取り払ってしまった。(並)
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ゆるやかな関係
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