県繊維工業試験場(中村敬場長)が今年度進めていた「絹製品開発・販路支援プロジェクト」に参画した21社が県産シルクを用いて絹の長所を生かした25の新商品を製作した。ニーズを調査し、実売を前提に開発したもので、来年2月の「東京インターナショナルギフトショー」など展示会への出展を通じて情報発信し、販路開拓を進める。
同試験場は富岡製糸場の世界遺産登録を踏まえ、前年度にシルクを活用した製品開発プロジェクトを発足。製糸場内での展示と試験販売、展示会への出展などを行った。今年度のプロジェクトも日本一の養蚕県である群馬から、ぐんまシルクを使った新しい商品を製造販売しようと、市場調査の結果を踏まえたものづくりを進めてきた。
21社中19社が桐生産地の企業。服地を活用したインテリア向け商材や着物に合わせるためのストール、生地から縫製まで桐生市内で一貫生産した贈答用の抱っこひもなど、各社が新しいコンセプトと着眼点で新商品を生み出した。
ネクタイメーカーのアルファテックス(広沢町一丁目)はストールを発表。担当者は「ベーシックでクラシックな色柄にし、主張しすぎないよう企画した」と狙いを語った。英国紳士のシルエットのイラストを用いたパッケージは、ストールを巻いた部分をくり抜いて商品が見えるよう工夫し高級感を出した。
中村場長は「絹はほかの繊維にはない優れた特性を備えるが、素材の優位性が需要に反映されていない。消費者目線で望まれる用途や機能を調査し、ものづくりに反映した」と狙いを説明。「絹産業の技量はどの地域よりも勝っている。伝統の絹を将来につなげる取り組みを粘り強く進めたい」と話した。
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