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母親とセンターが和解、女児自殺・見舞金訴訟控訴審

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 桐生市立新里東小6年だった上村明子さん=当時(12)=が2010年に自殺した問題で、明子さんの母親(47)=栃木市=が独立行政法人日本スポーツ振興センター(東京都港区)に死亡見舞金2800万円の支払いを求めた訴訟の控訴審は17日午前、東京高裁(河野清孝裁判長)で和解が成立した。同センターが遅延損害金を除く見舞金全額を支払うとの和解案に双方が同意したもの。これにより、明子さんの自殺は学校でのいじめが原因だと母親側の主張が全面的に認められた格好だ。

 同訴訟は、明子さんの自殺は学校でのいじめと教諭らの対応の不備が原因であり、学校での災害に当たるとして、母親が同センターに見舞金の支払いを求めたもの。センター側は、支給に必要な「いじめと自殺の相当因果関係」が明子さんのケースでは認められていないなどと主張し、争っていた。

 昨年10月20日の一審・宇都宮地裁判決は、自殺の主因はいじめだと認めた上で、教諭らの対応を検討するまでもなく「学校管理下で発生した事件に起因する死亡」に該当すると判断。同センターに請求全額と年5%の遅延損害金を支払うよう命じ、母親側の“完全勝訴”となった。同センターがこれを不服として控訴していた。

 控訴審は今年1月30日の第1回口頭弁論で即日結審。河野裁判長は同日、一審判決を支持する形で、同センターが遅延損害金を除いて見舞金全額を支払うことを条件とする和解案を双方に提示していた。17日午前の和解協議で双方がこれに同意し、和解が成立した。

 高裁で会見した母親側の代理人弁護士は、今回の訴訟について、自宅で首をつった明子さんの自殺が見舞金の支給要件となる「学校管理下で起きた事件」と言えるかどうかが争われたと説明。一審、二審とも見舞金の支払いを認めたことで、「学校でのいじめが自殺の原因だということが認められた」と“勝訴的和解”の意義を強調した。

 母親は会見で「結論には満足している。胸がいっぱい」と声をつまらせた。明子さんの養父、上村竜二さん(57)は「長かったが、家族みんなで闘ってきてよかった。明子には、長く待たせてごめんね、これで終わったよと報告したい」と話した。

 同センター側の代理人弁護士は和解成立後、桐生タイムスの取材に対し「公金を支払う以上、相当の根拠が必要だったが、一審も二審もいじめと自殺の因果関係を認める司法判断が出たので、すっきりした気持ちで和解できた。裁判所と被控訴人(母親側)に感謝したい」と述べ、速やかに見舞金を支払う意向を示した。

 今回の和解で、明子さんの自殺といじめとの因果関係をめぐって遺族が提訴した計3件の訴訟はすべて決着した。見舞金の支払い義務を認めた今回の判断により、明子さんの自殺は学校でのいじめが原因との主張を司法が認めた形となった。
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