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“侍ジャパン”立役者、荒木重雄さんに聞く(下)

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 では、今から行動を起こし、成功につなげるには何が鍵になるのか。荒木さんは「グランドデザイン(全体構想)」だと指摘する。

 「具体策の羅列は意味がない。大会や試合を誘致して終わりの“お祭り”にしない方策が重要だと思っています。そのためには、桐生という地域を中心に考えるのではなく、(五輪開催年の)2020年を契機としたスポーツ産業の変化の潮流と予測を踏まえるべきです」と述べる。

 「野球自体の活性化を目指す『目的としての野球』と、野球を手段として地域や社会の課題を解決する『手段としての野球』を分けて考えるのも重要。桐生のこの政策は、圧倒的な〝野球力〟を軸にしたまちづくりになるわけですが、実現にはプロ・アマ問わず、球界との連携も必要になると思われます。その際に必要な視点は、野球界への貢献です」

 「野球界の課題を理解し、解決の施策を打って連携を図る一方、スポンサーやパートナーになる企業の課題、地域と社会の課題解決のために野球を活用する。ステークホルダー(利害関係者)をしっかり捉えた構想と実現への戦略策定が必要。競技者増につなげて野球の復活に貢献しながら、地域社会を元気にするのです」と説く。

 荒木さんの郷土の野球への思いは、人一倍熱く、強い。

 「球都の父ともいわれる故稲川東一郎さんが両親の仲人で、稲川さんから誕生日に贈られたユニホームに袖を通したのがきっかけで野球を始めた。私自身、球都・桐生で育ち、野球に育ててもらった人生です。微力ながらお力になれればうれしいですね」と笑う。

 21日から3月2日まで、キャンプや壮行試合のために九州入りしている侍ジャパンに帯同中。球界のさらなる発展のため、奔走する日々だ。

荒木重雄さん

全体構想を描くことが成功には不可欠とみる(東京都港区内で)

 【プロフィル】▽荒木重雄さん=1963年9月桐生市生まれ。青山学院大学大学院修士課程修了。スポーツマーケティングラボラトリー(スポラボ)代表取締役。外資系企業要職を経て、2004年のプロ野球再編騒動をきっかけに、05年1月千葉ロッテ球団入り。当時のバレンタイン監督と二人三脚で人気球団へと飛躍させたほか、パ・リーグ6球団の事業会社立ち上げに貢献。09年独立し、スポーツに特化したICT(情報通信技術)とマーケティングを事業化したスポラボを設立。13年から日本野球機構(NPB)特別参与(後にNPBエンタープライズ執行役員・事業担当)となり、現在の「全世代・侍ジャパン」を構築した。15年にスポーツビジネスアカデミーを設立し代表理事。

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