市議会での言動がたびたび問題視され、除名の議決を受けて失職していた海老根篤みどり市議が、復職することになった▼除名処分を取り消した県知事の審決をかみ砕くと、言動に問題があるとはいえ選挙で選ばれた議員の身分を剥奪するには相当に重い理由が必要であり、みどり市議会の除名処分は「議会の裁量権の範囲を逸脱または乱用したもの」と断じた▼市議会としては、同氏の言動が目に余るとして戒告や出席停止などの懲罰を重ねた末の除名だった。サッカーに例えれば度重なるイエローカードの末の“累積レッドカード”を切った格好。だが審決で重視されたのは、そんな経緯や議決の重みよりも「選挙の重み」だった▼思えばトランプ米大統領も、過激な発言が疑問視されながらも当選した。スケールや影響力は比べるべくもないが、みどり市における海老根氏の存在もどこか似ていないか▼“異端”の政治家を生む背景に通底しているのは多分、既存の政治への不信感。だとすれば、海老根氏を排除しようとした議会の側も問題がないと言えるのか▼今回の審決は、海老根氏を市議たらしめる「有権者の責任」も突きつけている。その意味で、全みどり市民が無関心ではいられない。(成)
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