「イズミちゃん、ありがとう」―。今月4日に国内の雌のアジアゾウで最高齢の61歳で死んだ「イズミ」のお別れ会が15日午前、飼育していた桐生が岡動物園(桐生市宮本町)であり、大勢の人が花を手向け、別れの言葉を贈った。
イズミは1957年に2歳でタイから来日し、静岡県熱海市泉の温泉旅館が経営していた「ひぐち動物園」を経て、64年4月22日に9歳で桐生にやってきた。桐生が岡動物園での飼育年数は同園最長の約53年と多世代にわたって親しまれた。昨年5月26日に井の頭自然文化園(東京都武蔵野市)の「はな子」が69歳で死んでからは国内の雌のアジアゾウで最高齢(推定61歳11カ月)だった。
式典では、桐生市の亀山豊文市長が「半世紀にわたり市民にたくさんの思い出をつくってくれましたが、桜とともに天国に旅立って行ってしまい残念でなりません。ただ、イズミちゃんが残してくれた思い出はこれかも長く語り継がれていくことでしょう。イズミちゃんありがとう」と別れの言葉を贈り、齋藤隆浩園長は「イズミちゃんの大きな大きな姿はお客さまや私たちにとってかけがえのない思い出になり、これからも決して忘れることはないでしょう。楽しい思い出をたくさん残してくれて本当にありがとう。どうぞ安らかにお休みください」と涙ぐみながら述べた。
この後、これまでイズミの誕生日を祝ってくれた近くのたちばな保育園の園児たちや関係職員が献花し、終了後は待ち構えていた約200人の一般来園者が次々と花を手向け別れを告げた。
献花した桐生市境野町の高校生鈴木麻優里さん(16)は「イズミちゃんが大好きでした。小さいころからずっと見てきたのですごく悲しいです。たくさんの思い出をありがとうと言いたいです」と声を詰まらせながら話した。
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