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難病と向き合い絵手紙で感謝を 笠懸町の小島さん

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 みどり市笠懸町鹿の小島マサ子さん(69)が心を込めて描いた色鉛筆の絵手紙作品が5月17日まで、美原記念病院(伊勢崎市)のギャラリーで展示されている。難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)で手を動かすことも困難な小島さんだが、1枚ずつ丹精した絵手紙を友人や家族に贈っており、展示作品はその一部。「いろんな人からの助けを絵手紙でお返ししているの。描けるうちに、生きているうちにできるだけ感謝を伝えたい」と朗らかに笑った。

 昔から絵を描くのが好きで、50歳すぎから水彩画を習っていた小島さん。64歳でALSを発症し、進行した現在は人工呼吸器をつけ、1カ月のうち約2週間を自宅で、残りの期間を入院して過ごしている。定期的に入退院を繰り返す生活のなかで、小島さんが熱心に取り組むのが色鉛筆で描き上げる絵手紙だ。

 自宅で過ごす2週間、ベッドは家族や友人の心くばりでいつも花に囲まれており、小島さんはそれらをじっくり観察して「頭の中に入れて病院で絵手紙を描く」。自分で色鉛筆を手に取ることができないもどかしさの中で、看護師や周囲の助けを借りながら、身近な花や家族の似顔絵作品を少しづつ仕上げる。

 メッセージを添えて完成した作品は、家族や友人だけでなく、病院スタッフやその子ども、看護実習に来た学生などにもプレゼント。これまで手がけた作品は600枚近いが、手元に残っているのはほんの30枚ほどだそう。

 自宅で観察して作品の構想を練り、入院中に描いて感謝の気持ちとともに贈る。この小島さんのサイクルは「病院でも家でもなるべく楽しく生きられるように」という心がけから生まれたもの。

 6年目になる闘病生活の中で、病気を嘆いて涙を流したことはないという小島さん。家族や友人、病院スタッフなど「いろんな人に助けられて、結構楽しく暮らしているの」と力強く笑う。

 「上手じゃないけど気持ちが一番大事」と話し、常に笑みを絶やさない小島さん。生きる喜びや周囲への感謝を込め、絵手紙を描き続ける。

 【メモ】ALS=脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動ニューロン(運動神経細胞)が侵される病気で、難病に指定されている。2013年度の特定疾患医療受給者数によると全国で約9200人の患者がいると考えられている。
 運動ニューロンが侵されて体を動かそうとする信号が筋肉に伝わらなくなり、文字が書きにくい、はしが持ちづらいという細かな症状から、腕が上がらない、歩きにくいという症状に進行。手足の運動障害、言語のコミュニケーション障害、嚥下障害、呼吸障害などがある。
 ALSの原因は分かっておらず、現在も多くの研究者によって研究が進められている。
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