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Channel: ウェブ桐生タイムス
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ゆだねる感覚

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 春の植樹デーで足尾に出向いた。植樹地まで700段の階段を上る。これが一つの難関だが、標高が増すごとに広がる谷の眺望に目を奪われ、疲れを忘れる▼ここ数年、特に感じるのは若い世代の参加が増えていること。学校単位での参加も多く、2005年に足尾高校と日光高校が統合して誕生した日光明峰高校の生徒が、ボランティアできびきびと動けば、宇都宮や佐野、小山などの高校生がスコップを手に苗を植えている▼その一方、元気な高齢者の姿も多い。80歳の記念に参加したという女性は、周囲からの祝福を受けてほほ笑みながら、青空の下で気持ちのいい風を受けていた。年に1度、以前自分が植えた木を見に来るという人も多く、獣害で苗木を食べられたという男性は、いずれ成長する木もあるはずと、めげずに植樹をしていた▼人の取り組みには限界がある。一生懸命に苗木を植えたら、あとは自然の手にゆだねる。人の手には負えない部分があることを、わきまえることの大切さ。外側に向けて開いてゆく感覚こそ、この取り組みが長続きするポイントなのではないか▼思い通りにいかないからこそおもしろいし、また来ようと思う。参加するたびに気づかされる教訓である。(
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