群馬大学工学部同窓記念会館(桐生市天神町一丁目)の改修工事が、今年いっぱいに延長される。耐震補強のため昨年8月から工事に入ったが、築100年を経て内部の構造材の腐朽が予想以上に進んでおり、設計し直して新材と交換し金物で補強するなどの必要に迫られたからだ。工期を半年延長し、公開活用は新年度4月からを見込んでいる。
桐生高等染織学校の講堂と本館の一部を引き移転した記念館は、織都桐生と理工学部のシンボル。1998年に旧正門、守衛所とともに国の有形登録文化財になった。同窓会本部や資料室があり、講堂は講演会やコンサートのほか映画のロケや雑誌撮影などにも使われてきた。
工事は鉄筋コンクリート造りの布基礎を増設し、腐朽、老朽化した木造部分を取り換え補強するなどの耐震補強と、床暖房、空調設備が主。工事を担う平澤建設の現場監督鈴木裕太さん(21)は、西洋木造建築の技法やデザイン導入初期の仕事に感銘を受けつつ「予想以上に傷みがひどかった」という。文化財としての価値を守るためなるべく既存材料を使って復元整備を進めている。
総工費は当初よりふくらみ、おおよそ2億円近くになる。文化庁の「文化財建造物を活用した地域活性化事業費」の補助(補助率は最高50%)を受け、桐生市も1000万円を寄付した。
今年末には薄緑色の建物が再現する予定で、内部の座席や展示品を復元し引っ越し作業を終えて、新年度に再開する予定だ。
理工学部の石田滋夫事務長は「桐生の歴史的町並みに連なる観光スポットでもあり、桐生市とも相談して今後の利活用方法を考えたい。春の桜のころにお披露目できれば」としている。
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