夜、家に帰り、裏口を開けると、ネコたちが出迎えてくれる。そのまま戸を開け放てば、風呂釜や洗濯機の置いてある土間へ。好奇心いっぱい、遊びたい盛りのネコたちである。クモの巣やほこりにまみれるのもいとわず、隙間に入ったり、上ったり下りたり▼満足して家に上がってくるまで待っていようと、薄明かりの下、ぼーっとあぐらをかいていたのだが、いつまでたっても上がってこない。よく見ると、何かを取り囲むように座り、その真ん中をじっと見つめ、たまに手を出している。どうやら、カマドウマがいるようだ。あの虫は湿っぽい所が好きだからなあ、ほどほどにね、と眺めつつ、思った。「あ、カマドウマって、かまど馬、か」▼確かに台所まわりにいるし、あのたくましい感じは馬っぽい。生まれてこのかた「カマ・ドウマ」と思っていたのだが、切り所でこんなに合点がいくとは▼そういえば昔、俳優の時任三郎さんはよく「トキ・ニンザブロウ」と呼び間違えられたという。それが人気ドラマ「古畑任三郎」の名前の元になったと聞いたことがある。これもまた、切り所だ▼「カマ・ドウマ」を漢字にすれば「鎌獰魔」とも書ける。鎌を持った獰猛な妖怪のようだ。うん、やはり「かまど馬」がよいな。(篤)
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切りどころ
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