例えばアゲハの幼虫。食草は夏ミカンやユズのほか、サンショウ、キハダ、カラタチなどのミカン科。この仲間の葉は独特の匂いがあって、特にコクサギはそのまま「小臭木」である。コクサギの葉の付き方は独特で左右に2枚ずつの互生。名前が似ているクサギはクマツヅラ科。こちらも独特の匂いだがコクサギとは全く違う▼アゲハの幼虫から連想したことをたどった。今回は食草から植物方面だったが、昆虫方面へのアプローチもある。その多くが取材でかかわった人から教えてもらったもの。こちらの興味ゆえに分けてもらい蓄積してきた大切な知識だ▼先日、桐生自然観察の森で「こども自然教室」を取材した。子どもたちの興味を引き出すように、レンジャーそれぞれが持つ知識をわかりやすく工夫して伝える。その姿を見て、これまで得てきた大切な知識は、ただ分けてもらったのではなく、誰かに伝えるべく預けられていたのだと、改めて気づかされた▼教えてもらった知識がこの身に息づき、得た時期も場所もばらばらの情報と結び付いて形を成し、いつか誰かに伝えるために整えられていく。独り占めして楽しんでいいのは知識ではなく、この整理する過程だけなのだろう。(並)
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