みどり市は21日夜、地方創生に向けた5カ年計画(地方版総合戦略)を協議する有識者会議「市まち・ひと・しごと創生会議」(委員長=椛沢龍次郎・桐生大副学長、18委員)の第3回会合を市役所笠懸庁舎で開いた。戦略の基礎となる「人口ビジョン」が固まり、現状1・53である市の出生率を25年後の2040年に2・20に引き上げるという高い目標を設定。その実現に向け、戦略に盛り込む具体的な施策の案として90事業を列挙した。
人口減克服に向け、政府が全自治体に策定を求めた地方版総合戦略。市では来年2月の戦略策定に向け、その基礎となる人口ビジョンを固めた。総合戦略、人口ビジョンとも市民意見の公募をへて正式決定する。
人口ビジョン策定にあたり、市は9月に独自の市民アンケート、11月には市男女共同参画審議会(加固正子会長)に依頼してPTAなど子育て関連26団体へのアンケートを行い、意向を探った。
市民アンケートは「結婚・出産・子育て」(市内の18~40歳の2000人対象、回答率28%)、「今後の居住」(同16~22歳の500人、同22%)、「転入・転出」(1~6月に転入・転出した各250人、同26%と29%)の3テーマで実施した。
その結果、若い世代の86%が「子どもが欲しい」と回答。理想の子どもの数は笠懸地区で2・28人、大間々地区で2・12人、東地区で1・83人との数字が出たことから、この平均値2・20を「理想出生率」と設定した。
総合戦略を展開することで、2014年に1・53である市の合計特殊出生率を引き上げ、40年に2・20とする目標を設定。これを達成することで、40年の市の人口を、国立社会保障・人口問題研究所の推計より3679人多い4万6310人に維持する計画だ。
人口ビジョンでは、目指すべき将来の方向として(1)結婚・子育て(若い世代の希望実現)(2)働く場(雇用拡大)(3)移住(空き家を活用した移住促進など)(4)観光(地域特性に応じた魅力発信と定住促進)(5)教育(子育て世代をターゲットにした教育環境の充実)─の五つの基本目標を掲げた。
これに沿って、創生会議の委員や庁内のワーキングチームなどから具体的施策の提案を求めた結果、計90の事業案が出された。
このうち▽出産祝い金(1人に3万円)▽次世代育成手当(児童手当に5000円上乗せ)▽学童保育早朝・延長▽創業支援─などは、総合戦略に盛り込んで短期に計画・実施すべき事業の候補と位置付けた。
また中期計画として▽フォトロゲイニング(婚活イベント開催)▽新築住宅促進▽日光市連携│など、長期計画として▽新公園建設▽複合商業施設・ミニ工業団地造成▽あずま小中一貫校設置─などの事業案を挙げた。
市は来年1月の次回会合で、これらの事業案を精査し、総合戦略の素案として示す方針だ。
関連記事: