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シカ激増、捕獲数最多に 黒保根・東で緊急対策実施へ

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 桐生、みどり両市で2016年度に捕獲されたニホンジカの頭数がともに過去最多だったことが両市のまとめで分かった。みどり市は県内市町村別で最多規模の捕獲数で推移しており、桐生市ではシカが民家に侵入して建具などを破損する被害も発生した。激増するシカへの対策として、県と両市などは今月中旬から、山間部で「緊急対策」を開始。エリアを絞って重点的に捕獲を行うほか、植林地にセンサーカメラを設置して生育状況の分析に乗り出す。

 両市の有害鳥獣捕獲状況のまとめによると、桐生市内で16年度に捕獲されたシカは248頭で、5年前の3倍以上に増えた。みどり市では、わなやおりで捕獲した351頭に加え、狩猟による277頭を含めると県内市町村別で沼田市や下仁田町と並んで最多規模となる。

 県が15年度に策定したニホンジカ適正管理計画によると、両市の北部は県内屈指のシカの高密度地域で、両市にそれぞれ2000頭以上のシカがいると推計されている。苗木や枝葉が食べられる被害を中心に、両市では多いときで年間5000万~6000万円規模の林業被害が出ているという。

 桐生市では捕獲数の約7割が黒保根地区で、16年度は同地区で170頭を占めた。旧市内でも山間部でシカが多発。今年5月には西久方町の民家にメスのシカが現れ、通報を受けた市職員が網で捕獲を試みたところ、暴れたシカが窓ガラスを突き破って家屋に浸入。建具を壊したり、血で床を汚すなどし、市が家主に約118万円の損害賠償を行う事態となった。

 シカの増加傾向を受け、県鳥獣被害対策支援センターは今年度、両市で「シカによる森林被害緊急対策事業」を実施。県と両市、猟友会、森林組合が対策チームを組織し、9月中旬から11月の猟期前までの間、桐生市黒保根町宿廻とみどり市東町沢入の2地点で重点的に捕獲を行うほか、市有林にセンサーカメラを設置し、シカの生育密度などを分析する。

 適正管理計画では、23年度に県内のシカの生息頭数(推計3万2220頭)を半減させる目標を掲げており、みどり市では17、18の2カ年で年間1420頭(狩猟含む)、桐生市では同840頭(同)捕獲し、農林業被害の軽減を目指す。

高止まりするイノシシ、サル

 シカだけでなく、イノシシとニホンザルも捕獲頭数は高止まりしている。

 両市の16年度の状況をみると、イノシシは桐生市では過去最多だった14年度の1103頭に次ぐ950頭、みどり市でも歴代3位となる324頭を捕獲した。サルは、桐生市で歴代2位の66頭、みどり市では同3位の67頭を捕獲している。

 県桐生森林事務所では「昨年まではイノシシが多かったが、今年はシカの目撃や被害の情報が増えている」とした上で、「シカの食害で山林所有者は悲鳴を上げている。山林の荒廃を防ぎ生態系を守るためにも頭数の適正管理が必要」としている。
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