“雨漏り”どころではなく、“雨降り”中の教室。それでも、ここを部室として使う演劇部員はみんなで傘を差し、楽しそうだ。そんな日常を新聞の高校再編のニュースが引き裂く▼県高校芸術祭演劇部門東毛地区大会のトップバッターを務めた桐生南高校の「雲量ゼロ、快晴。」の冒頭場面。全国大会に出場し、もうすぐ無くなってしまう母校の名を刻みたいと奮闘する演劇部員の姿をコミカルに描いた作品だ。終盤にほろっとさせられたのは同じく統合される学校の卒業生だからだろうか▼大会直前、今年の全国大会の様子をテレビで見た。最優秀賞は兵庫県立東播磨高校の「アルプススタンドのはしの方」。高校野球の応援に借り出された高校生の複雑な思いを描いた作品だった。高校演劇には高校生が今を演じることで生まれる特別な力がある。桐南の作品は顧問の作のようだが、現役生の生の声を少しでも感じられて良かった▼今回は観劇できなかったが、来年1月の関東大会への出場を決めた桐生高校、11月の県大会へ駒を進めた桐生商業の作品も見てみたい▼そしてできることなら、桐南の作品もブラッシュアップしてどこかで再演し、「今」の気持ちを残してほしいと願っている。(野)
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