長いものに巻かれたほうが、人は何かと楽かもしれない。だが、批判的思考が弱体化することによって、全体主義が国を覆い、権力の暴走を許す。戦前の日本の風景だ▼国家権力は国民をだますことがある。歴史はそう教えているはずだ。だからこそ権力を批判するジャーナリズムは重要なのに、一部の政治勢力やそれに迎合したネットの世界では、現政権に批判的な言論を「反日」などと攻撃する言論が広がっている。こうした安直なレッテル張りの風潮を、社会学者の宮台真司氏は「感情の劣化」と呼ぶ▼北朝鮮という敵を設定し、敵から国民を守るという主張は、国家権力として当然だろうが、実態はどうか。米ニューヨークタイムズは「安倍氏は自分の都合のいいタイミングで解散総選挙を行うために北朝鮮というカードを利用している」との見方を伝えた。要は、野党の混迷と北朝鮮情勢に便乗した解散総選挙ということだ▼英デイリー・テレグラフは「あらゆる国の有権者は今、現状に失望しきって、たとえ深刻なリスクであっても、リスクを取って変化を起こそうとする機運が高まっている」と報じている。私たちの日本にも当てはまるのかどうか。22日の結果はいかに。(成)
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