「えっ、曲がんね曲がんね!」▼もう30年も前になる。免許取りたての友人らに付き合って、運転の練習がてらドライブに行っていた。交通手段といえば自転車がせいぜいだった高校時代から、動ける範囲は一気に広がり、草木ダムに虫とりに行ったり、はねたき橋やらロマンドやらの“うわさ”の場所を巡ったり▼そんなある日。夜中、国道でゆっくり走っている車を抜いた。すると突然、その車はハイビームにして近づいたり前をふさいだりと、若葉マークのついた車をあおり始めた。運転していた友人はあせり、山道や脇道に入って避けたのだが、執拗に追ってくる。そしてついに、下りの緩いカーブの山道で、タイヤが滑ってコントロールを失った▼あと1㍍で、数㍍下の川に落ちるところだった。かろうじて止まった車からみんな降りて立ちすくんでいると、あおっていた車が追いつき、「バーカ」と声をかけて立ち去った▼東名高速での“殺人事件”の救いようのない容疑者の行動の数々を耳にして、30年前を思い出した。あのとき執拗にあおってきた運転手も今はもういいトシのはずだが、もしかしたら近くで生活しているかもしれない。けっして人ごとではないのだ。(篤)
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