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Channel: ウェブ桐生タイムス
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ほんのりと

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 えびす講も終わったこのごろは、すっきり晴れた青空よりも薄曇りの方が、寒さがやわらいで、過ごしやすい。落ちきらない紅葉で、山々はもやの向こうにほんのりと赤く、目にも穏やか、冬の始まり▼何日か前、インターネットで見た紅葉の風景写真。大手新聞社のカメラマンによるものだと思うが、思わず「うわあ」と声を出しかかった。目にも鮮やかな紅葉、深い緑、青い渓流。文字にすると秋たけなわの絶景だが、その声は、逆の意味から出かかった言葉。「どぎつい」▼必要以上に赤い紅葉、それを強調するために必要以上に鮮やかな常緑樹、赤と緑のバランスが悪いせいで草津の湯釜のような強酸性を思わせる青白い川。こうなると、もう「作品」だな、と▼その昔、写真は「事実を写すもの」だった。昨今、デジタルデータになって、簡単に加工ができるようになり、簡単に“だませる”ようにもなった。写真が事実ではなくなった▼「インスタ映え」という言葉に代表されるように、見た目重視の傾向が強くなっている。行き着くところ、何でも極端。0か1かの二進法、それがデジタルの世界▼0と1の間には、よくよく見れば無限がある。その機微が楽しい。ほの赤いふるさとの山々に思った。(
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