桐生市教育委員会が群馬大学理工学部と連携して、大学院生を各中学校に派遣するサイエンスドクター事業。5年目に入って成果が出ていることから、来年度には市立幼稚園にも派遣する計画で、28日、試行の授業が西幼稚園(籾山まり子園長)で実施された。フランス製ロボット「ナオくん」2台と園児の前に立ったのは鹿貫悠多さん(30)。サイエンスドクターを1年目から務めており、現在は理工学部助教、西幼稚園の大先輩でもある。園児向けに独自の教材を用意して興味を引き出し、考えることを楽しませていた。
2020年からの新学習指導要領導入で、小学生もプログラミング教育が必修になることから、桐生市教委では「園児にも興味関心を持ってもらい、小学校につなげたい」と、幼稚園へのサイエンスドクター派遣のねらいを語る。今年度に西幼稚園で試行、来年度は市立7園全園に広げる予定だ。
鹿貫さんはロボット工学が専門。サイエンスドクターは5年目で、中学校に出向いて理科の教員と授業をしたり、自由研究を指導。今年度と一昨年度には清流中の生徒が県代表として科学の甲子園ジュニアに出場するなど目に見える成果を挙げている。
白衣姿で9人の年長児に「はかせ」と呼ばせた鹿貫さん。ロボットにあいさつや歩行、太極拳などいろんな動きをさせると、園児たちは目を輝かせ歓声を上げて、動きをまねる子も。「ロボットはどうして動くのかな」と問うと「プログラミングで動く」と答えが返った。「テレビで見た」そうだ。
園児向けには即パソコンではなく、一つずつの動きを印した積み木を準備、その組み合わせや順序を考えさせて、プログラミングをわかりやすく可視化。ロボットが「こんにちは」と言って手を振ったり、「よろしくね」と握手したり、成功するたび子どもたちに笑顔が広がった。年中児や年少児も見学して楽しんだ。
桐生市独自のサイエンスドクター事業は現在、全中学校で実施。年間で大規模校(清流、相生、新里)に57回、中規模校(中央、境野、広沢、川内、桜木)には37回、小規模校(梅田、黒保根)に17回、計14人が派遣されている。幼稚園への導入は今回の試行を踏まえ、検討していく。
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