桐生に織物の技術を伝えて神としてまつられる「白瀧姫」の物語に神楽や八木節、民謡もアレンジして創作したオリジナル舞踊劇「白瀧姫御縁起」と、歌舞伎俳優市川猿之助さんのトークショーを2本立てとする公演が3月21日、桐生市市民文化会館シルクホールで行われる。文化庁助成による桐生文化芸術発信事業で、市文の開館20周年記念事業にも位置付けられている。創作舞踊には桐生の女性や子どもたちが出演することになり、本番初演に向けて稽古に励んでいる。
「白瀧姫御縁起」と題された創作舞踊は、歌舞伎研究者で東京大学名誉教授の古井戸秀夫さん、早稲田大学招請研究員の鈴木英一さんの作、演出で、振り付けは日本舞踊家の花柳基さん、作曲は長唄三味線方の杵屋巳太郎さん、そして歌舞伎座の舞台を手掛ける金井勇一郎さんがテキスタイルプランナー故新井淳一さんの布を使って美術を担当するなど、当代一流の人たちが結集。これに桐生の邦楽舞踊協会、東毛連合舞踊の会が出演する。
11日に笠懸公民館で行われた稽古には、古井戸さんや花柳さんも参加して細部をつめた。第1場は都の禁裏で白瀧姫と山田舎人が出会い和歌を贈答。姫を伴って桐生に帰り、やがて里人たちになじんで機織りを教える。そして二人は天の織姫と彦星になって、ラストシーンは現代の祭りという夢幻のストーリーという。
古井戸さんは「桐生西高校和太鼓部、白瀧神社太々神楽で開幕です。全体は組曲で、北原白秋作詞、山田耕筰作曲の桐生音頭は石井獏の振り付けを復活させたい。上演後もそれぞれ独立して踊れるでしょう」と語り、子どもたちが渡良瀬川に布をさらすシーンに「上手ですね」と目を細めていた。
最年少出演者の平林悠良くん(5)は「布を振るところが好き。練習がんばる」と稽古を繰り返す。境野中バレーボール部2年の女子4人も参加、大澤華さんは「一生に一度の体験なので、みんなと仲良く、成功させたい」と抱負を語った。
3月21日開場は午後2時半、開演同3時。チケットは1500円で、1月20日から市文などで発売。問い合わせは桐生音協(電0277・53・3133)、桐生市教委生涯学習課(電0277・46・1111)へ。
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