一本の電話が会社にかかってきた。元気のいい女性の声。名乗るよりも前に、いきなり話が始まる。「ミホちゃんの親戚が桐生にいるの。みんなに知らせてあげようと思って」▼話の全貌が見えないまま、メモを取るも追いつかない。聞き直そうと思ったものの、あっという間に電話は切れた。しまった。電話をくれた人の名前も連絡先も分からない▼以上が電話を受けた同僚社員の話。かろうじて残ったメモから察するに、ヤマグチさんという菱町在住の女性が、ミホちゃんという子の親戚らしい。どこのミホちゃんだろう▼電話の女性の言葉を振り返る。「いま五輪の応援に行ってるよ」。そうだ。ミホちゃんとは、平昌五輪の女子スピードスケート、高木美帆選手のことだったのだ▼その後、菱町の事情通の人たちの力をお借りし、なんとかお目当ての人にたどりつくことができた。その取材成果が本紙２０日付１面記事。美帆選手の大叔母にあたる山口満喜子さん、菱町の事情通の人たち、そして電話の女性にも、この場を借りてお礼を言いたい▼今夜はミホちゃんたちが団体追い抜きで金メダルに挑む。親戚のような気持ちで応援する桐生人が、少しでも増えてくれたらうれしい。（針）
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