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目立つ“帰郷断念”、震災7年・避難者アンケート

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 東日本大震災7年の節目に、津波被害や原発事故などで桐生地区(桐生・みどり両市)に避難している世帯を対象に、桐生タイムス社が実施したアンケート結果が13日までにまとまった。今後の居住先について、昨年まで自宅や出身県に戻る望みを捨てていなかった世帯が、帰郷を断念して桐生定住を決意する回答が目立った。高齢化による体調不良と、避難指示解除後も住民が戻らない故郷の現状が影響している。

 同アンケートは、桐生タイムス社が震災約2カ月後と約半年後、2年後からは毎年3月11日前後の時期に行い、今年で8回目となる。

 桐生・みどり両市によると両市内の避難者は現在27世帯62人で、桐生タイムス社が所在を把握したのは18世帯51人。うち16世帯47人から面談や電話で回答を得た。

 今後の居住先を聞く設問では、「桐生地区に定住」(13世帯)が前年比26・2ポイント増の81・2%に上る一方、「出身県に戻る」(3世帯)が同11・2ポイント減の18・8%だった。「自宅に戻る」「これからの状況しだい」との回答はゼロだった。

 桐生地区定住の割合が増えた理由として、昨年調査で帰郷を希望していた3世帯が調査以降に福島県に戻ったのが一因。さらに昨年調査で「出身県に戻る」「これからの状況しだい」と回答していた4世帯が帰郷を断念し、「桐生地区に定住」と回答したことなどが影響した。

 帰郷を断念した主な理由として、2世帯が高齢化による体調不良を、2世帯が故郷の避難指示解除後も住民が戻っていない現状に失望したことを挙げた。

 「夫が体調悪化で入退院を繰り返すようになり、帰郷するどころではなくなった」(80代女性)、「故郷の町に出ていた避難指示が昨年解除されたが、戻った人が想像以上に少なくて帰郷は難しい」(40代女性)

 一方、桐生地区での地域交流(人付き合い)の度合いを聞く設問では、「かなりある」(6世帯)と「ある程度ある」(6世帯)を合わせた“親密交流世帯”が前年比10・0ポイント減の75・0%。「あまりない」(2世帯)と「ほとんどない」(2世帯)の“孤立傾向世帯”が同10・0ポイント増の25・0%だった。

 親密交流世帯が減って、孤立傾向世帯が増えた主な理由として、高齢化による体調不良や、子どもが家を巣立ったことで、人付き合いが減ったとの答えが目立った。

 「2月下旬に白内障の手術をして以降は外出しなくなった」(80代女性)、「子どもが進学で親元を離れたので、人付き合いがめっきり減った」(40代女性)

 被ばくによる健康不安の有無を聞く設問では、56・2%(9世帯)が不安と答えた。子育て世帯でみると6世帯のうち5世帯が不安と回答。「結婚や出産など子どもの将来を考えると(被ばくへの)差別や偏見が心配」(30代女性)との声もあった。

 このほか自由回答では、「桐生の人にも街にも慣れてきた」(60代男性)との声の一方で、「夫婦で避難した当初は良かったが、夫が病気になってからのここ2年は精神的につらい」(80代女性)との声も。「子どもが春から高校生になる。出産当時、この子が群馬の高校に行くとは夢にも思わなかった」(40代女性)との回答もあった。
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