桐生ファッションウイークが今年で第20回の節目を迎えた。ファッションとは、人が身にまとう衣装のことだけではなく、この土地の気候風土に合わせ、心地よく暮らすためにつくられ、また導入された、道具や風習、生活習慣までを含めた、広い意味を含んでいる。
今年のパンフレットを広げれば、50を超えるイベントが並んでおり、有名無名を問わず、個々の作家や小さなグループが生き生きと活動している様子が見えるようで、いかにも桐生らしいと、頼もしく思えてくる。
柔らかい風呂敷のようなファッションウイークという容器と同様、中に入る個々のイベントもまた歴史を重ねている。
先日、市街地で開かれた桐生ハロウィンも、今年が20回の節目。ハロウィーンが流行する前、まちなかの小さなイベントから出発し、今では500人を超える子どもたちが参加する一大イベントにまで成長した。
楽しんでいるのは子どもだけではない。一緒に参加する親からは、ふだん入る機会のない専門店をのぞくことができる絶好の機会なのだと、大人らしいイベント活用術も耳にした。店主側とすれば、日ごろの愛顧にとどまらず、大切な顧客を獲得するチャンスにもなっている。
クラシックカーフェスティバルも、今年で10回目という節目だった。ボンドカーのトヨタ2000GTという目玉もあり、会場の群馬大学桐生キャンパスは、2万5000人もの人であふれた。本町通りでは、会場に向かう車の列が昼すぎまで途切れることなく続いた。ナンバーを見れば、関東に限らず東北や中部、関西の地名があり、それほど遠方までイベントが知れ渡り、ファンを引き寄せているのかと、改めて驚かされた。
一方で、パンフレットを見れば、今年が「第1回」という新しいイベントもある。
イベントとは、伝えたい何かを抱いている人が、誰かに発表する場のことである。ファッションウイークという、何かを発信することが許された大きな容器の中で、小さなイベントが始まり、参加者がそれを育て、時の経過に洗われながら回を重ねてゆく。その結果として、20回目のファッションウイークが出現しているのだとすれば、盛り込まれた内容には重みがある。
イベントは立冬の8日まで続く。20年を祝いながら、秋の盛り上がりを楽しみたい。
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