わたらせ渓谷鐵道(本社みどり市大間々町、樺沢豊社長)は29日の取締役会で、2015年度(28期)の決算見通しを報告した。各種イベントやメディア露出などが奏功し、輸送人員は前年度比約6%増と予想。最終損益は修繕引当金を担保することなどから約154万円の赤字となる見通し。16年度の営業方針では、新型の普通車両を導入する計画などを示した。
2月までの実績は、一般の乗客が前年同期比13%増、運輸収入も同12%増で、定期を含む全体でも乗客は6・2%増、収入は10・4%増と好調。最終的な輸送人員は前年度より約2万5000人増の44万2000人前後になると報告した。
決算見通しでは、大相撲や宝塚、歌舞伎などを鑑賞する東京ツアー10回、料理列車などの線内ツアー計62回の好調などから、旅客運輸収入を前年度比9・8%増の1億7527万円、雑収入を含めた経常収入を同14・6%増の2億4832万円と見込んだ。
経常支出は、前年度に続き修繕引当金として1700万円を確保することなどから同13・8%増の3億8986万円とし、経常収支はマイナス1億4153万円。ここから沿線3市が負担している運行維持費補助金1億1093万円や、国の補助金2621万円が入ったことなどを勘案し、鉄道事業の当期損益はマイナス107万円。レストラン清流や水沼駅温泉センターなどを含めた全事業の最終損益は154万円の赤字と見込んだ。
16年度営業方針では、県とみどり市の補助金で大間々駅ホームのバリアフリー化を図るなど、駅の施設整備に加え、年内をめどに新型の普通車両(WKT―512型)を導入する計画。新車両導入は昨年3月に続くもので、普通車両は4台目、トロッコ車両を含めると5台目という。
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