強い言葉、というものがある。強いから、印象に残る。みんなが使いたがるのも無理はない、とは思う。特に芸人さんなんか、覚えてもらえるフレーズとして重宝する。だけどその強さは時として、心に刺さり、痛かったり不愉快な思いをさせる▼昔に比べて、テレビのテロップが異常なほど多くなった。特にバラエティー番組では、強調したい言葉やせりふなどを文字にして流す。聞こえのよろしくない自分にとっては重宝するときもあるが、昔に比べてその頻度が圧倒的に増え、目障りであることの方が多い▼同じ言葉にしても、音声と文字とでは強さが違う。音声は、状況や感情、ニュアンスで、それが冗談なのか本気なのかだいたいわかる。文字は、受け取る側の技量、度量次第で、解釈や印象が変わる▼「ゲス不倫」「日本死ね」―。昼どきに入った食堂のテレビ、ワイドショーの画面で目にした文字。芸人のギャグだったり当人の心の発露であればまだ理解もできるが、フレーズが一人歩きして二次、三次と使われると、なんとも不快だ。あるから使っていい、というものでもなかろうに▼品位に欠ける文字を真剣に受け止めたり笑って受け流せたりする度量は、自分にはないのだな▼よかった。(篤)
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