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きらめき銘仙

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 日本とイタリアの国交を開いたのは、お蚕さま。慶応2年に修好通商条約を締結、微粒子病が大流行したヨーロッパに蚕種が渡った。境島村からも横浜港のバイヤーに販売して多大な利益を上げた。古代のシルクロードの両端が直接結ばれた▼近代日本の最大の輸出品目は生糸。養蚕農家から製糸工場へ、良質の生糸が大量生産されるようになる。一方で規格外の繭は出荷できず、農家は自家用に糸を引き布を織った。それが庶民的きもの銘仙のルーツという▼国交樹立150年を記念してローマで「VIVID MEISEN」展が開催される。桐生織塾ほか足利と秩父のコレクター所蔵の銘仙が持ち込まれ、いまや準備の真っ最中だろう。オープニングは21日、きものの定型に絣を織っての大胆な色柄に、イタリア人も目を見張るに違いない▼銘仙は「何でもあり」。日独同盟締結時のヒットラー絣、関東大震災後のバラック絣、ご成婚柄に月光仮面、アールデコやロシアアバンギャルドも。産地間の競争に社会に出ていく女たちのエネルギー渦巻き、戦前の抑圧と戦後の解放感も反映される▼大正から昭和初期、銘仙は普段に着たからこそ、残らなかった。伊勢崎や秩父の復活を応援したい。(
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