Quantcast
Channel: ウェブ桐生タイムス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

旧江雅織物ノコギリ屋根、刺しゅう工場に

$
0
0

 昨年12月をもって廃業した和装織物製造の江雅織物工場(桐生市三吉町一丁目)のノコギリ屋根工場が刺しゅう工場として新たな命を吹き込まれることになった。敷地が隣り合う笠盛(同、笠原康利社長)が名乗りを上げて借り受け、刺しゅう機を持ち込んで一部稼働を始めた。工場内の改修工事を進めている最中で、5月中旬に完全稼働の予定だ。

 江雅織物工場は伝統的工芸品桐生織の七つの技法に指定されている「経錦織(たてにしきおり)」や「緯錦織(よこにしきおり)」などの技法を駆使し、桐生産地を代表する和装メーカーの一つとして、帯を中心に細密な織物づくりを手掛けていた。

 同社のノコギリ屋根工場は木造3連。戦後増築した道路側の1連を除き1926年(大正15年)ごろの建築とみられる。すぐ隣で操業する笠盛も元織物業で、戦後に建てたノコギリ屋根工場を現在も使用しているが、手狭で増設の適地を探す中、江雅織物の工場が空くと知り、使用を申し出た。

 3連のうち2連部分の工事が終わり、3月中旬から暫定的に稼働を始めた。5月16日から完全稼働の予定。本社工場をチェーン刺しゅうとレーザー加工、旧江雅の工場はコード刺しゅうや原反刺しゅうと役割を分ける。

 笠原社長は「最近の刺しゅう機は大型である程度の広さが必要。ここを使うことでノコギリ屋根を残せれば」と話す。

 桐生らしい景観を象徴するノコギリ屋根工場の活用を訴えてきたファッションタウン桐生推進協議会(会長=山口正夫桐生商工会議所会頭)が2005年に行った全棟調査では、市内に241棟が現存することが確認されたが、最近も広沢町内の工場が解体されるなど漸減傾向にあり、現在は200棟あまりとみられる。

 協議会事務局を務める同会議所の石原雄二専務理事は再活用を「非常にありがたい。本来の機能である繊維産業で引き続き使われ、工場も喜んでいるのでは。そこから新しい商品が生まれれば」と期待している。
関連記事:


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

Trending Articles