足利銀行(宇都宮市)を傘下に持つ足利ホールディングス(HD)と常陽銀行(水戸市)が25日、経営統合で最終合意した。足利HDを母体に新持ち株会社「めぶきフィナンシャルグループ(FG)」を10月1日付で発足させる。北関東を中心に営業エリアが広域化する利点を生かし、専門部署を新設して新産業創出や地域ブランド化などの地域創生に取り組む。本部と営業店の効率化で人員を確保し、15程度の新規出店を見込む。
6月下旬に双方が開く株主総会での合意を経て決まる。めぶきFGは東京都を本社とし、足利銀、常陽銀を傘下に置く。常陽銀の寺門一義頭取が社長に就き、足利HDの松下正直社長が副社長を務める。両行はそれぞれ宇都宮市、水戸市に引き続き本店を構える。常陽銀行株1株につき、めぶきFG株1・17株を割り当てる株式交換を行い、常陽銀は上場を廃止する。
統合効果として、2021年度で150億円程度を生み出す目標を掲げた。業務効率化で150人程度を確保し、新規出店のほか商品開発や取引先へのコンサルティング業務などに充てる。具体的な出店先は明らかにしていない。同日都内で記者会見した寺門氏は「東京に向けて(の営業強化)は当然あり得る。人が増えているところがターゲットだ」とした。店舗の合理化は重複地域の整理統合が中心になる見通しも示した。
2行の合併について松下氏は「両行が存在するのが今回の統合最大のポイント。当面一切考えていない」と否定。寺門氏も否定した。両氏はめぶきFGを「開かれた金融グループ」だとし、各地域でトップシェアを握る有力地銀の合流を受け入れる考えを示した。
規模拡大に伴う取引先の切り捨てを懸念する声が中小企業団体などから挙がっている点については「両行とも対応方針を変更するつもりはなく、一切ない」と否定。松下氏は「統合のモデルケースとなりたい。お客さま、株主に必ずメリットを感じていただけると思う」と述べた。
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