桐生市で情報関連会社を経営する傍ら、熊本市の崇城大学で非常勤講師を務める小保方貴之さん(43)は、熊本地震をじかに体験し、桐生に帰郷後も連日のように被災地と連絡を取り合っている。桐生から遠く離れた被災地へ、具体的にどんな支援が可能で、かつ有効なのか。小保方さんは「被災者に配られる義援金も大切だが、被災地で支援活動にあたる団体などへの支援金はすぐに必要」と、現地のボランティア活動などへの資金援助の重要性を語る。
小保方さんは14日夜、今年度最初となる講義を翌日に控えて熊本市におり、中心街の地下の飲食店で震度6弱の「前震」を体験。翌日から大学は休講となり、16日に帰郷しようとしたその日の未明、ホテルの5階で震度6強の「本震」の恐怖を味わった。
FM桐生の番組制作にかかわる仕事柄、東日本大震災の経験も踏まえ、小保方さんは前震の直後から、身の安全を確保しつつ、フェイスブックなどのSNS(交流サイト)で、現地にいるからこそ分かる情報を発信し、拡散し続けた。
知人の安否から被害の状況、交通機関や商店の営業状況など、具体的な情報を伝える。「被災に伴うさまざまな『不安』を一つ一つ消していくことが災害情報の役目」だと思うからだ。
「SNSでは、誰が言っているのか分からない雑然とした情報が多すぎる。やみくもに『○○が足りない』と訴えても支援は届きにくい。どこで誰が何をどれだけ求めているか、具体的に情報を出すことで、物資や人手が届きやすくなる」と話す。
刻々と変わる状況の中、支援の方法にも注意が必要だと訴える。地震発生から3、4日後には、政府のプッシュ型支援もあって救援物資は充足したが、それを仕分け、配送する人手が不足していた。21日以降に各市町村で災害ボランティアセンターが立ち上がると、人手も集まり始める。「人的支援に行くなら、被災地の受け入れ態勢を確認してからにすることと、ボランティア保険に入ることが不可欠。それをしないと、かえって現地を混乱させたり、足手まといになる恐れもある」
日赤などが集める義援金は、被災者へのいわば見舞金で、配分されるのに時間がかかる。これに対し、復旧・復興などの活動にあたる団体を直接援助する支援金は「すぐに必要なお金だが、義援金に比べ認知度が低い」と指摘する。
支援金は、現地の社会福祉協議会や日本財団などが呼びかけている。小保方さんは「被災地を支援する具体的な方法として重要」と、熊本で支援活動に取り組む知人らの顔を浮かべながら呼びかける。
関連記事: