2020年東京五輪・パラリンピックの新エンブレムが決まった。最終候補4作品の中から選ばれたのは「組市松紋」がコンセプトのA案。作者は「つなげること」をテーマに壁面のデザインや建築分野で活動を続けてきたアーティストの野老(ところ)朝雄さんだった▼盗作疑惑や閉鎖的な選考過程への批判から使用中止に追い込まれた旧エンブレム。その反省から大会組織委員会は作品を一般公募し、最終候補4作品を公表して意見を募った。応募総数1万4599点。意見は10日間で約11万件に上った▼国民からの意見が審査にどの程度影響を及ぼしたかは分からず、国民参画の評価は難しい部分もあるが、かつてない関心を集めたのは確か。ただ、不満の声が旧エンブレムへの批判のように盛り上がらないのはデザインの問題だけでなく、メーンスタジアムの問題など、もうそれどころではないというのが本音ではないだろうか▼実は記者は朝顔を描いたD案が華やかで好きだった。ただ、野老さんによると、藍一色のエンブレムは「みんなが色をつけていく塗り絵のようなもの」という。自分の好きな色を塗った旗やポスターが東京の街を飾ったら、なかなかいいかもしれない。(野)
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