「山国の風がしずまる良夜かな」―。俳号、桐野梅子こと増野洋さん(72)=桐生市小梅町=が、冒頭の句で第17回虚子・こもろ全国俳句大会(小諸市など主催)で、一席に当たる大会賞に輝いた。
同大会は、長野県小諸市に縁のある、俳人高濱虚子の記念館が小諸市与良の虚子庵隣に開館した2000年に第1回を開催。17回目となる今回は、過去最高の、全国7995人から2万4613の投句があり、増野さんの句はその頂点を極めたことになる。
作品はふるさと桐生の情景を素直に詠んだもの。4月29日に小諸市で行われた表彰式で、選者で虚子の孫に当たる星野椿さんから「作者の優しさがにじみ出ている句ですね」と講評されたという。
飲食店を営む増野さんが、ぼけ防止にと俳句を始めたのは15年ほど前。子供のころに聞き覚えた、懐かしい言葉を詠みこむのが信条だ。まったくの独学だが、これまでに都留市ふれあい全国俳句大会准賞、伊藤園お~いお茶新俳句大賞佳作特別賞、NHK学園生涯学習フェスティバル伊香保俳句大会で秀作に入選した実績がある。
虚子・こもろ全国俳句大会には過去3回応募し、佳作に2句入選。今回の大会賞獲得は「ただただびっくりしました。本当にうれしい」と喜びを隠せない。
現在、結果待ちの大会がいくつかあるという増野さんだが、伊藤園お~いお茶新俳句大賞の最高賞獲得が夢。商売の合間を縫って増野さんの句作は続く。
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