水沢石材(桐生市広沢町四丁目)の水澤亨司社長(53)が18日から、カンボジアにある世界遺産の石造寺院アンコールワットに赴き、参道の修復事業に参加する。上智大学のアジア人材養成研究センター(石沢良昭所長)が主導する「アンコール・ワット西参道保存修復事業」の一環で、群馬県内唯一の「石匠位」として、現地の石工職人たちに技術を伝えるのが役割。「同業の職人として、2週間の滞在でできる限りの技術を伝え、カンボジアのために貢献したい」と意欲を見せる。
アンコール・ワット西参道保存修復事業は、上智大学アジア人材養成研究センターが政府開発援助(ODA)を活用し、現地のアンコール・ワット地域遺跡整備機構と協力して取り組むプロジェクト。「カンボジア人による、カンボジア人のための、カンボジアの遺跡保存修復」を目指し、日本の技術者や有識者らがチームを編成し、指導に当たっている。
水澤さんのもとに参加要請が届いたのは今年3月。カンボジアは未知の土地で不安もあったが、同じアジアの石工職人として力になれればと、上智大学に足を運び、プロジェクトの概要などレクチャーを受けてきた。
今回は“上智大学特任講師”の肩書を持って参加する。世界遺産の修復でもあり、電動カッターなどの現代工具はあえて使用せず、「のみや石頭、ビシャンといった昔ながらの道具の使い方を指導する」のだという。「そのために道具も用意しました」と水澤さん。
5月初旬には、経済産業省公認の「全国石製品協同組合」が制定した「石匠位」の資格認定を受けたばかり。石についての技術・知識を保証する資格で、4月に試験・面接を受け、県内では初めての合格者となった。
仕事内容の詳細や進め方については、現地で再度打ち合わせを行った上で決定する。「日本とは勝手が違うので不安もあるが、いい体験になるはず。自分にできることをしたい」。6月1日まで、水澤さんはカンボジア北西部の世界遺産で汗を流す。
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