音楽家いしざかびんがさん(64)=桐生市菱町二丁目=が12日から14日まで韓国を訪問、日本人高齢女性たちの福祉施設「慶州ナザレ園」で慰問コンサートを行った。昨年「戦後70年、不戦の誓い」をテーマに開いたコンサートでも歌った曲「慶州ナザレ園」は、いしざかさんの大事なレパートリー。苦難の人生を生き望郷の思いを秘めたおばあさんたちの前で、いしざかさんはギターを抱えて「ふるさと」「ふじの山」などを弾き語り。「アリラン」は何度も繰り返し歌ってきた。20日に桐生市市民文化会館小ホールで、6月18日に桐生倶楽部会館で開くコンサートでも、「慶州ナザレ園」を歌う予定だ。
日韓併合、内鮮一体、日本の敗戦、朝鮮戦争―。激動の歴史のなかで、半島に渡って身寄りのなくなった日本人妻たちを保護するため、韓国のクリスチャンが創設した施設が「慶州ナザレ園」。政府の奨励で玄界灘を渡った花嫁、日本で留学生と結婚した人など事情はさまざまだが、朝鮮戦争で夫や子を失ったり南北分断で別れ別れになったり。帰国しないまま老いた入所者の平均年齢は90歳を過ぎている。「おばあさんたちにやっと会えた。戦争は罪ですね」と、いしざかさん。
慰問は高崎南ロータリークラブや足利西ライオンズクラブのメンバーなど総勢15人で、翌日のコンサートは施設内の礼拝堂に約100人が集まった。「だんだん表情が変わって指笛が起き、踊りだす人たちも。盛り上がりました。日本の歌、韓国の歌、『オー・シャンゼリゼ』は大合唱でした」。「いつかなくなる施設」であり、念願のコンサートだった。
いしざかさんは桐生に移住して5年半。日課の吾妻山登山は「年に460回」と笑う。この時期恒例となったコンサートは市民文化会館が満席のため、桐生倶楽部で6月18日午後1時半から追加公演する。全席自由でチケットは2000円。問い合わせはいしざかさん(電0277・51・3041)へ。
関連記事: