何と心憎い使い方を思いついたことか。キノコ種菌・菌床大手の森産業が、創業者で農学博士の森喜作さんをモデルにしたオリジナルキャラクター「ドクターモリ」を「LINE(ライン)」スタンプにしたのに衝撃を受けた。予想のはるか斜め上をいく活用法。恐れ入った▼森さんは京都大学在学中、大分県の山村で、貧しい農夫が借金して買った原木に「なばよ出てくれ」とシイタケの胞子が自然付着するのを祈る姿を見て、人工栽培法の研究を決意した。教科書にも取り上げられた逸話だ▼同社によると、シイタケの一大産地である九州では、没後40年近くたった現在も生産者の間で絶大な人気を誇るという。スタンプのアイデアが九州の営業担当者から出たというのも、あながち偶然ではないのかもしれない▼本社や沼田工場の大看板がかつてライトアップされた姿は不気味と評されたが、その気味悪さも人々の印象に残るようあえて狙ったものだったそう。平成の世になり「キモカワ」なる言葉も世間に定着したが、1984年に誕生したドクターモリは、まさに走りといえる▼博士の類いまれな先見性はキャラクターにも乗り移っていたということか。今なお健在なドクターよ、永遠なれ。(悠)
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博士よ永遠なれ
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