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Channel: ウェブ桐生タイムス
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ほどほど

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 雨は民主的である。人種、信条、性別、出自、貧富といった差異に関係なく、その場所にいる人びとの頭上に等しく降り注ぐと、そんな内容のエッセーをむかし読んだ。しとしと降り続く穏やかな梅雨の雨を思い浮かべれば、たしかにそんな印象か▼でも視野を広げるにつれ、雨の降り方の偏りに気がつく。昨年、鬼怒川流域に水害をもたらした関東・東北豪雨や、つい先日、熊本・長崎地方を襲った豪雨などは極端なケースで、急速に発達した積乱雲の連なる線状降水帯の下と、そこから外れた地域とでは、わずか数㌔の隔たりが人の生死を分かつ原因となりうる▼過去にないほどの大雨が短期間に降るということは、同時に大量の水蒸気が供給されているということ。最近は異常気象ではなく極端気象と呼ぶようだが、水不足になったり、豪雨に見舞われたり、猛暑日が続いたりと、気象の偏りは年々大きくなりつつあると、そんな印象が強い▼自由と平等の間で、政治もまた揺れているようだ。両極に振れればその分、中道が陥没するのだと、EU離脱を問うイギリス国民投票や、アメリカ大統領選について専門家のつぶやきを聞いた。熟考したうえで中道を行く。ほどほどが難しい時代なのか。(
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