桐生厚生総合病院(丸田栄院長)が、整形外科手術の精度向上に効果的な「手術ナビゲーションシステム」を導入した。手術中に高精細な3D画像が撮影できる「移動型デジタル式汎用一体型X線透視診断装置」とセットで導入したのは、県内の医療機関で初めて。同病院は患者のメリットに手術時間の短縮や安全性の向上などを挙げた。
手術ナビゲーションシステムは、カーナビゲーションシステムと同様、手術中にどこの部分を触っているか〝現在地〟をリアルタイムで知ることができるもの。同時に導入したX線透視診断装置で手術部位を3D撮影し、手術ナビゲーションで表示。実際に使用する手術器具などもナビゲーションシステムに反映され、体内で目に見えない場所の手術でも「器具をどこまで進ませたか」などを知ることができる。
これまでは手術中、2次元で撮影できる外科用X線透視装置を使用し、何度も撮影位置を変えて手術の進行を確認するなどして患者の安全を確保していた。結果的に長時間の手術になり、患者の被ばく量も多かった。
今回導入したシステム一式を用いると、X線透視診断装置で撮影する回数が減るため、被ばく量も格段に少なくなる。手術時間も「これまでの半分ほどに短縮できる可能性がある」とし、同時に出血量も減らすことができ、術中・後の患者の負担が軽減されるという。
今回導入したシステム一式は、整形外科の分野でも腰椎脊柱管狭窄(きょうさく)症の手術などで特に効果があり、手術ナビゲーションシステム単体では耳鼻科や脳神経外科などでも活用が期待されている。
導入に関わる予算は約8600万円で、2016年度予算に計上された。
関連記事: