五穀豊穣(ほうじょう)、集落繁栄の願いを込め、2日に桐生市黒保根町で前田原と涌丸の獅子舞が奉納された。いずれも江戸時代から伝わる地区あげての秋祭りに行われており、桐生市重要無形民俗文化財に指定されている。「獅子舞日和だね」と2カ所を回って見学する人もいた。
十二山神社で午前10時から行われた前田原獅子舞は、「七つ子が今年初めて獅子をふる」と歌われるように子どもが3頭立てで、笛と太鼓にのって典雅に舞う。今秋は牡獅子を小林拓未さん(小6)、牝獅子は妹の來夢さん(小4)、法眼は関口真歩さん(同)が一の舞をつとめた。
保存会の尾池一秀会長(65)によると「昔は広い土間のある家の長男のみが舞子に選ばれた」という。高度成長期に途絶えたことがあり、自身は舞えない世代だそうだ。
境内には手作りのおでんやうどん、焼きとりなどのテントも出て、この日に里帰りした人たちも一緒にゆるりと楽しんでいた。
涌丸獅子舞は医光寺で桐生市の歴史まちづくり講座も兼ねて開催。保存会の松島丈二会長と空井秀雄57世住職の解説を受けた後、集まった人たちとともに獅子舞を見学した。
涌丸も3頭立てで「きりのない舞」「きりのある舞」、そして最後の「幣束取り」で悪疫を退散させ喜びの舞でフィナーレ。大頭は小林大輔さん(大間々高校1年)が通しで舞い、牡獅子は桑原雄太さん(29)と小林純也さん(19)、牝獅子は新井仁翔(まさと)さん(小6)と多和田圭一さん(39)。
勇壮で表情豊かな舞の合間には道化役のボロサンバも登場する。今年は小林功さん(45)が多和田理澄(さとすみ)さん(小2)と空井雄信さん(小1)を伴って笑いを誘い、さい銭を得ていた。
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