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Channel: ウェブ桐生タイムス
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スキマ

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 大きな本屋さんの棚を見て回る。そのジャンルの基礎、教科書となるような本がある。そうした本の間をつなぐ専門的な本がほしくても、そうそう見つからない。興味を持つ人はそう多くないのだろうなとあきらめる。あきらめきれなければ、東京・神田の書店街まで足を延ばす▼20年前はそんな感じだった。でも今、本屋さんを見ると、むしろ教科書的な本よりも、専門的、マニアックな本の方が多い感じであきれるほどに細分化されている。もしそこで見つからなくても、ネットの通販で探せばほぼ見つかる▼便利になったのは間違いない。だけど、探す楽しみが減ってつまらなくもなった。そして何だか、息苦しくもなった▼教科書と教科書の間にある専門書。間というのは、隙間である。「スキマ産業」という言葉が生まれて久しいが、その久しい間に産業として成り立ち、いろいろなスキマが埋められてきたのだ▼昔は各地に空き地があり、そこで子どもたちはいろいろな遊びを見つけ出し、作り出した。空き地が建物で埋められていき、遊び場が減っていった▼隙間というのは余裕であり、余裕というのは、遊びである。そして人間は、遊ぶことのできる生き物。遊び場が減るのは、息苦しい。(篤)
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