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Channel: ウェブ桐生タイムス
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変わる景色

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 自宅の周囲でアパートの建設が相次いでいる。つい先日まで田んぼだった場所に土が運ばれ、平らにならされ、基礎が打たれ、建材が次々と組み立てられてゆく。晴天続きに、工事も順調そうだ。隣には昨年完成したばかりの棟があり、新しい住民が新しい暮らしを始めている▼折にふれ、40年以上もつきあい続けたおなじみの景色が、わずかひと月ほどでガラリと変わる。いつも意識して眺めていれば、変化に気づくのだが、数週間目を離したすきに劇的に変わってしまうケースも多く、そうなってしまえば、以前の風景を思い出すことさえ難しい。ただ、記憶とは不思議で、何かの拍子に幻灯機のスイッチが入ることもある▼昨年完成したアパートのわきを流れる用水はその昔、子どもたちの遊び場で、用水から水を引いて田を潤すと、そこにさまざまな生きものが紛れ込み、ときには思いがけないほど大きなウグイが水田に泳ぐ姿を見かけることもあった。用水をのぞきながら、そんな田んぼの景色がよみがえった▼同じ地域に暮らす人でも、景色の記憶はそれぞれに違うのではないか。新しいアパートの住民たちがこの地域についてどんな記憶をとどめてゆくのかと、少し気になった。(
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