ユネスコ無形文化遺産に18府県33件の「山・鉾・屋台行事」が一括登録された。すべて国の重要無形民俗文化財だが、世界に認められたことで伝承者の育成や用具の修理・新調などの保護措置がより手厚くなったことを喜びたい▼地域社会の安泰や厄災防除を願い、人々が一体となって執り行う祭礼行事で「山・鉾・屋台」は神霊の依り代。地域の自然素材を用いた伝統的な工芸技術で、幾世にもわたり継承されてきた。そんな祭礼が日本各地にあるのを再認識する▼故郷の富山県からは高岡御車山祭、魚津のたてもん行事、そして城端神明宮祭の曳山行事が入り、岐阜県の高山祭、古川祭、大垣祭、石川県の青伯祭も集まって“飛越能”で祝賀イベントが開かれた。登録後初の秩父夜祭にも観光客が押し寄せたという▼亡き永六輔さんが日本で一番好きな祭りといった城端曳山祭。剣鉾、四神旗、獅子舞、神輿3基、傘鉾に続く6台の曳山も神像も地元の大工や塗師が手掛けて高雅な神迎え行列だ。一番の特徴は紋付きはかまの若連衆が端唄を奏でつつ山を先導する「庵屋台」の粋である▼弁天さまは焼失したとかで、表舞台の担い手は男のみ。ままならぬこといまだ続く慣習も、継承されるのだろう。(流)
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