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減少のわけ

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 ここ数年、渡良瀬川を遡上するサケの姿を見ている。秋、松原橋の上から流れをのぞくと、コイよりやや細い紡錘形の魚影が、産卵の場を求めて川上に移動してゆく。そんな光景につい見入ってしまう▼今年は近年にないほど遡上数が少ないようで、「数匹見かけた」といった地元住民の声がちらほら。「見ていない」の声も多い。渡良瀬川が流れ込む利根川の、利根大堰でサケの遡上数を数えているが、2016年は12月12日現在で3970匹だ▼15年の1万2200匹、14年の8550匹に比べ、3割程度にとどまる。どうして少ないのか。先日、両毛漁協の中島淳志さんと奈緒美さんとの立ち話の中で、11年に起きた東日本大震災へと話がおよんだ▼この年、東北・北海道の太平洋側にあるふ化施設が津波被害を受け、稚魚放流の数は激減した。その影響は、昨年あたりから現れるのではと、漁業関係者たちは注目していたようだ。利根川水系のサケ遡上数は、昨季こそ減少しなかったが、今年の落ち込みは予測と一致する▼稚魚放流の取り組みは桐生地区でも行われている。今を境に4年前、そして4年後と、サケを通じて私たちは過去未来を眺める。暮らしと環境を考える、いい機会だとも思う。(け)
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