ドローン(小型無人飛行機)を産業用に活用する機運が高まっている。飛行時間の短さがネックになっているが、県内の企業同士が手を組み、長時間飛行を可能にするハイブリッド型の機体開発に取り組んでいる。実用化に不可欠な発電用の超低振動エンジンは、みどり市内の企業の特許技術だ。
開発はドローンを事業化したヨコヤマコーポレーション(高崎市、横山勉社長)と、エネルギーシステム開発の石川エナジーリサーチ(みどり市笠懸町、石川満社長)で進める。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに昨年度採択され、試作を重ねてきた。
石川エナジーは、石川社長(60)ら自動車メーカー・ホンダの元技術者を中心に2010年設立。独立前から熱交換器開発でつながりがあったアタゴ製作所(大友望社長)内に拠点を置く。
ドローンは高性能バッテリーを積んでも20分程度しか飛べないのが現状。対策としてハイブリッド化が有望だが、振動が機体の制御や耐久性に悪影響を及ぼす難点があり、ヨコヤマ側が小型軽量高出力の低振動エンジンを探していた。
エンジンは、コージェネレーション(CGS)システム向けに開発した技術が基だ。CGSを設置した場合、振動の低周波が騒音につながるため、振動を抑える対向ピストンエンジンを独自に編み出した。特許は国内に加え、欧米に国際出願を済ませた。
ピストンとクランクを左右対称に配置。互いに反対に動作することで力を打ち消し合い、振動を防ぐ。電動並みの静かさを実証済み。アルミやマグネシウムの合金を使用し、軽量化を図った。ガソリン3・5㍑で1時間稼働する。
まずは農薬散布や測量用を視野に2年後の実用化を目指す。太田市内で16日午前、中間報告会が開かれ、試作機が公開された。石川社長は「商品化に向け、より大型化する。年内に設計を終え、来年4月以降に飛行試験に移りたい」と語った。
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