初日の出を拝もうと、渡良瀬川に架かる橋まで出掛けた。元旦の恒例行事である。橋の上に立ち、眼下の水の流れから、東の空に視線を上げると、さらに上空で鳥の鳴き声がする。カワウやカモが列をなし、川下目指して空を行くのが見えた▼川の上空にはおそらく彼らの通り道があり、そこを往来することが日課なのだろう。夜明けを待ってえさ場へと向かう途中といったところか。空を飛ぶ鳥たちの目に、この地域はどう映っているのだろうと、つい想像してしまう▼20年前、セスナ機に乗りこみ、500㍍の上空から桐生みどりの風景を眺めた。広い裾野を持つ赤城山の山容は雄々しく、吾妻山や鳴神山といった山の連なりが、まちを守るようにそびえていた。渡良瀬川と桐生川は輝く青い糸のようだった▼地上で暮らしていると、小さな変化が目に留まるが、視点を上げれば、ふるさとのおおまかな形だけが残る。山、川、平野と、大地が織り成す地形の特徴はおそらく、長い歳月にわたって変わらぬままなのだろう▼広い視野も、狭い視野も、ともに大事にしていきたい。2017年、自分の立ち位置を確認しながら、私たちの地域を見つめてみたいと、そんなことを思った。(け)
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