木は水に浮くか。そう聞かれ、ちょっと考える。湾岸の材木置き場では丸太を浮かべて保管しているし、いかだも浮くからこそ機能を果たす。だから「浮く」と答えたくなるがそう簡単ではない▼梅田湖で魚礁を作るという体験学習会を取材した。立方体の枠に詰め込んだ木と竹の束を水中に沈める魚礁は、魚が隠れたり産卵したり、木につく微生物が水生生物のえさになったりする、いわば水中の生態系の揺りかご。その工程で、用意された長さ約１メートルのスギの丸太と竹の中から、水に浮く木を選ぶ作業があった▼同じように見えるスギも、乾燥率などの違いで浮く木と浮かない木があり、見分けるのは難しい。だから冒頭の問いの答えは「木による」が正解だ▼ここ１カ月、変なせきが続いている。受診したところ、せきぜんそくやマイコプラズマ肺炎の疑いも指摘されたが、診断は「分からない」。抗生物質などを処方されたが完治しない。でも、病名を付けられて変に安心するより、分からないと言われたほうが真実に近い気がして不思議と納得している▼分かった気になっていることが多い日常の中で、分からないことの発見は人を謙虚にする。いくつになっても「分からない」を大切にしたい。（成）
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