「あまりに不愉快で、途中でテレビを消したわよ」。ニューヨーク在住の友人と最近、トランプ新大統領について話した。選挙速報が進んで「悪夢」が現実になっていく様子を見ていられなかったと、そう語る顔は青ざめていた▼友人いわく、どこに「隠れトランプ派」がいるか分からないので、政治についての雑談ができなくなった。トランプ支持か否かをめぐって友人関係が壊れたケースもあり、市民レベルでも「分裂」が進んでいると嘆く▼新大統領就任を受け、世界各地で反トランプ氏のデモが起きている。政策以前に、氏の差別的な発言や思想に対する抗議であり、反対派もまた感情的にならざるを得ない状況が痛々しい▼米国の「分裂」が日本に、私たちの地域にどんな悪影響をおよぼすのか、それが一番心配だ。感情的な分裂は心の平穏を奪い、敵対心や攻撃性を呼び起こす。そうした場面は身近な地域でも起こりうることを、選挙に関わったことのある人なら体感的に知っている▼就任早々これだけ激しく批判される大統領が、果たして４年間もつのだろうか。今後の政策で批判の声を黙らせるのか、それとも強大な権力で服従させるのか。「活動的な無知ほど恐ろしいものはない」（ゲーテ）（成）
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感情的分裂
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