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インフルエンザと入試

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 県内でインフルエンザの流行が本格化している。月曜の本紙に掲載されている桐生市医師会の感染症報告によれば、今季の流行は例年より2、3週間早く、桐生地区の定点医療機関当たりの患者数は1月22日までの週と、翌29日までの週と、2週続けて警報値の30人を超えた。

 A香港型が流行しており、外出後の手洗いやうがい、人と会う際には飛沫感染を防ぐマスクの着用など、感染拡大の予防にできるだけ努めたいと思う。

 かりに感染をしても重症化しないよう予防接種を受けたり、タミフルやリレンザといった治療薬を利用したりと、感染対策も徐々に多様化している。ただ、複数の人間が一つ屋根の下で身を寄せ合って暮らすライフスタイルであれば、ウイルスの感染自体を阻むことは難しく、避けられぬリスクの一つなのだと、そう認識するしかない。

 この時期、とりわけ気をもむのが、受験生のいる家庭や彼らを預かる学校で、感染リスクを少しでも減らそうと、周囲の気遣いや配慮は相当なものだ。

 インフルエンザの流行期に入学試験が行われるという日程そのものに課題があることは間違いないのだが、流行期の前に試験を済ますことができればいいと思ってはみても、授業を行う学校側の事情や、入試を実施する高校・大学側の事情もある。簡単に変わらないのが実情だ。

 インフルエンザなどにかかった受験生のために追試を行うよう、文部科学省が昨秋、教育委員会や私立高校に通知を出していたとの報道があった。自分のミスのせいで不合格になるならまだしも、インフルエンザで受験の機会が奪われたり、体調不良をおして試験に挑んだものの実力が発揮できずに終わったのでは不本意だ。実際、悔やまれる声を耳にしたこともある。

 体調管理も入試のうちで、病気は自己責任などとも言われてきたが、前述したようにウイルスの感染を防ぎきることはできない。かりに追試を受ける態勢が整えられるのであれば、それに越したことはあるまい。

 入試でミスをして志望の学校に進めなくても、そのことを力に変えて自分の望みを叶えた人は多い。高校入試や大学入試がすべてでないことは、卒業した大人には分かるが、渦中の子どもたちに伝えるのは難しい。培った力を、せめて思い通り発揮する機会を整えることが、大人の側の役割なのだと思う。
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