桐生市が先に公表した公共施設の管理計画案は、現在所有する施設の延べ床面積を今後20年で20%、同35年で45%縮減することが目標になっている。
まちの将来の人口構成や収入を念頭において、持続可能な維持管理の形を見つけ、再編をすすめていこうとする内容だ。
特に桐生の場合、公共施設の多くが1969年から83年にかけて集中整備されている。大規模改修の目安となる築30年以上の建物がこの先どんどん増えていくわけで、その都度、何を変えていかなければならないのか、何を変えてはいけないのかの難しい選択に迫られることになる。計画通りにいくと、15歳の子どもが50歳になるころ、私たちのまちはどんなふうに様変わりしていることだろうか。
ただ、どのように様変わりしようとも、市民が住みやすいまちになったと確信を持てるか、または、もうすぐそうなるだろうという希望が持てる姿になっていてほしいと願うのだ。
私たちの日常生活の中でも、将来のことを考えつつ、取捨選択を決断しなければならないときがある。勢いがあるとき、静かに軟着陸する方法を考えるのは容易ではない。大抵は現実に直面してからの決断になってしまうが、決断する以上は、できればいまより良くしたいと思うのが人情である。
施設は完成当時、華々しく迎えられ、喜ばれたものがほとんどである。少子高齢化や趣味の多様化という変化の中で、活用の道の模索は続いてきたが、気がついてみればそれらが老朽化施設の仲間入りをするという。
この道のりを振り返っても明らかだが、35年とは実はそんなに遠い先の話ではない。
収入の見込みが立たない中で維持管理に圧迫される形は避けたいことだ。したがって、削減案は大事である。
しかし、それによって市民サービスに影響が出るのも避けなければならない。それに代わるサービスの質、施設のあり方を整えていくのが行政の本来の仕事ではないか。まずはそこに全力を注いでほしい。
市民の意見をよく反映し、経常的な経費の中身を吟味しながら、ハード面だけでなく、ソフト面もスリム化して、一般市民だけにがまんを強いるわけではないことを、具体的に印象づけていく態度が不可欠だろう。
市民の理解を得て、円滑に進めていけるのが理想である。
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