「この地域は関東平野でいちばん危ない」。そう言っても過言ではないと、講師は当たり前のように語った▼“釜石の奇跡”で知られる防災研究の第一人者、群馬大学大学院理工学府の片田敏孝教授が、先月20日に桐生市内で開いた防災講演会。「“安全神話”に首までつかっている」と指摘されてハッとした▼一昨年9月の鬼怒川決壊の豪雨災害も、雨の降り始めは渡良瀬川流域だった。積乱雲が南北に延びる線状降水帯が、たまたま山を越えて被害を免れたが、桐生は渡良瀬川と桐生川の扇状地。一歩間違えば大変なことになっていた▼水害だけでない。土砂災害警戒区域は桐生・みどり両市で1310カ所。地震も太田断層(太田市東部―桐生市南部)や大久保断層(みどり市大間々町周辺)があり、マグニチュード8程度の規模が想定される関東平野北西縁断層帯にも近い▼老朽化で建て替え検討中の桐生市役所本庁舎。同市が災害対策本部を置く施設だが、最大1メートルの洪水浸水想定区域内で、しかも非常用電源は地下1階にある。震度6強から7程度の大地震で倒壊、崩壊の危険性が高いとの耐震診断結果も先日公表された。「災害とどう向き合うか」という地域の姿勢が問われている。(針)
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